連載 ご当地作業療法・第5回
たこやきごっこ
松本 茂樹
1
Shigeki Matsumoto
1
1堺市立重症心身障害者(児)支援センター ベルデさかい
pp.962-963
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100624
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はじめに
日清製粉グループの調査〔1992年(平成4年)〕によれば,自宅でたこやきをつくると答えた人は,大阪68.5%に対して東京37.1%である.
今回は,「たこやきを焼く」活動でなく,「たこやきごっこ」を紹介する.私はたこやきを思い浮かべるとソースの焦げた匂いと青のりが歯にこびりつく感覚が脳裏をよぎる.「ごっこ遊び」をするうえで最も大切なことは,基になる活動を経験したことがあるかどうかである.くぼみのある鉄板を見て,ソースの香りを想起させる経験(文化)なしに「たこやきごっこ」は成立しない.
大阪を訪れる方は,もれなくたこやきを食し,多くの方は口の中に軽い火傷を経験される.これはたこやきを「食べ物」とする誤った認識が原因である.大阪人にとってたこやきは,喉越しと香りを味わう「飲み物」であり,かみしめる食べ物ではない.「たこやきごっこ」は,鉄板を見て「ソースの香り」を想起し,たこやきを“飲む”文化圏の中で,OTの鉄板(芸)アクティビティとして君臨している.
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