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はじめに
苅山 本日はOTがどう理論と技術を活かし,発展させていけばよいか,実践経験豊かな皆さんから領域を超えた枠組みをご提案いただけたらと思います.
まず,私から自己紹介をさせていただきます.スタートは2年間,身体障害領域で脳卒中の方を中心にリハをさせていただき,その後精神科領域で京都府立の基幹病院・洛南病院に6年間,それから地元広島県に戻り民間の精神科病院に14年,合わせて20年になります.そして精神科作業療法を教えるために佛教大学に教員として移り,丸6年経ちました.
東 宮崎県都城市にあります藤元総合病院の東です.現在は回復期リハ病棟を中心に活動をしていますが,精神科から興した病院ですので,そちらの立ち上げの経験もあります.精神科では統合失調症やうつ病の患者さんが多かったのですが,最近では認知症も多くなり,その方たちを専門に支援するリハ部門を立ち上げました.他に循環器系の病院があり,病院のすべてのリハの幹部をしていますので,重複する障害をおもちの方もみてきました.
またお子さんも対象としていますが,最近,発達障害の方が多くなってきました.肢体不自由児もたくさんみています.お子さんに関わるうちに,お母さんがうつの症状を呈したり,おじいちゃんが脳卒中や認知症になる,ということも経験します.そういったとき,スタッフには切り口はどこでも構わないので,一つの軸を中心にいろいろな障害に対応できるようにと伝えています.そのため,本日は領域を特定せず,広い視点から発言させていただければと思います.どうぞよろしくお願いします.
宮崎 兵庫県たつの市で活動しています,いねいぶるの宮崎です.私自身はOTになってまだ17年足らずで,いろいろなことを勉強中です.活動としてはたつの市内在住の障害をお持ちの方,その予備軍の方への支援と,予防という3ステップで行っています.また他の団体と連携して町おこし事業も行っており,町自体を活性化させて,そこに障害者のある方もない方も,共に暮らせるようになる支援活動をしています.
行政と一体となって行う活動が軸になっているので,私たちOTは,障害に応じた訓練・ケアと同時に,支援につながっていない人たちを,どうやってつなげるか.その人たちが望んでおられる生活のあり様に,どんなふうに参加できるようにしていくか,を主眼としています.
私たちの組織内だけで問題を解決することをタブーとしており,問題を外に出して,協力をしてくれる人を,その当事者の周りにどれだけ集められるか,そのために,どんな作業療法をするかというテーマに取り組んでいます.
古野 北九州市立総合療育センターという,福祉と医療のサービスを同時に提供している施設から参りました古野です.私はOTになってからは一歩も他の世界に行かず,ずっと小児の作業療法をしています.親御さんが歳をとられ,お家でケアができないため,老齢期を迎えた肢体不自由の方が病棟にいらっしゃることもありますが,主な利用者は子どもたちです.
長い間小児領域に関わっていますが,障害像がすごく変わってきていると感じます.比率として脳性麻痺の方はかなり減ってきていて,発達障害の方の割合が増えています.今まで医療療育の中心的な存在は運動障害をもったお子さんたちでしたが,対応の内容が変わってきていることを感じます.
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