提言
支えること,支えられること
茂木 有希子
1
Yukiko Mogi
1
1株式会社ハート&アート
pp.972-973
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100235
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長男を出産と同時に,私は介護老人保健施設(以下,老健)に職場を移し,ワークシェアの枠の中で働くことになった.初めての出産と初めての老年期分野,しかもまだ介護保険制度が導入される以前で「痴呆症」と呼ばれる方々がたくさんいた.病院との違いや痴呆症(認知症)の方々へのリハには大きな戸惑いと矛盾を感じた.常勤ではなく立場も弱かったにも関わらず,ある日私は理事長(医師)に施設の矛盾を話してみた.理事長は,「そう感じるなら自分で施設をつくりなさい」と一言.今から15年ほど前になる.そのときは,自分が施設をつくるなんて絶対にあり得ないと思った.そもそも,経営の「け」の字もわからないし,愚痴は言ったもののそこまでの勇気も信念もなかった.ただ,「この施設(老健)をよくしたい」という気持ちになったことは覚えている.
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