特集1 看護学生の論文
入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
支えることは,支えられること
佐藤 奈緒美
1,2
1茨城県立中央看護専門学校看護学科(投稿当時)
2財団法人太田総合病院(西ノ内3D病棟)
pp.662-663
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100725
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- 文献概要
私は実習で,たくさんの患者さんと出会った。特に心を動かされたのは,下咽頭がんで手術をしなければ根治は難しいと告知されたAさんを受け持ったときだった。Aさんは声帯までがんが浸潤し,リンパ節転移があった。医師からは手術によって失声すること,永久気管孔の造設が必要なことも説明されていた。しかし,Aさんは声を失いたくなく,「病気は治したいけど,手術はしたくない」と放射線療法での治療を望んでいた。
受け持った当初,Aさんは放射線療法と化学療法を受けていた。Aさんは私を快く受け入れてくれ,明るく社交的で,一見どこが悪いのかわからないくらい元気な方だった。しかし,一方で,告知を受け,治療を選択しなければならない現実に人生の先が見えなくなった思いを「鉄のカーテンで閉められたようだ」と話してくれた。
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