Japanese
English
特集Ⅰ 作業療法と脳科学Part 2―②精神障害領域
認知症と脳科学
Dementia and brain science
長倉 寿子
1
,
岡村 忠弘
1
Hisako Nagakura
1
,
Tadahiro Okamura
1
1関西総合リハビリテーション専門学校
pp.875-879
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100212
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Key Questions
Q1:認知症に対する作業療法に脳科学の知見をどのように生かすのか?
Q2:認知症の症状進行を脳のシステムにおいてどのようにとらえるのか?
Q3:認知症の方の生活支援における課題とは?
はじめに
近年,画像機器が高度化し,鑑別診断においてその有用性が高まり,生物学的診断マーカーや認知機能検査もさまざまなものが開発され,認知症の病態研究は飛躍的に進歩している.OTは,日々の臨床の中でより適切な介入を行うために,行動観察や本人および家族からの病歴や生活歴を聴取することにより症候を把握する.このためには画像,診断基準,補助診断の道具や神経病理的特徴について常に関心をもち,症候をとらえるための新しい神経科学の情報を入手する必要がある.しかし,時代とともに症状が細かく記載され,現象の区分や表現がわかりやすく系統的であることで,専門家でなくても,整理されてきている診断基準を使えばラべリングができてしまうことに注意すべきである.認知症の方は,明らかにある能力が進行性に欠落,行動的にみて社会で独立して機能できない状態になった人のことであり,個々の生活障害の変化を把握することが重要で,経過をみる一つの手段である画像やテストの点数だけで判断されるべきでない.神経心理学的知識から症候学を正しく理解し,生活史が影響する症状の観察から個別性の視点が揺るがないようにすることが必要である.人の行動を評価するOTが認知症の方の生活障害の評価や支援を行う際,その根拠となる脳科学の知見をどのように生かすことができるかについて概説する.
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