増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第4章 支援技術Ⅲ 生活期:生活の広がりに向けて
1 脳卒中の人に対する生活行為向上マネジメント(MTDLP)
谷川 真澄
1
Masumi Tanikawa
1
1有限会社なるざ
pp.908-912
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202635
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はじめに
脳血管疾患は40代から加齢とともに発症率が高まる1).中高年〜高齢者にわたり,主に人生の後半に患う病気である.脳梗塞,脳出血,くも膜下出血いずれの場合でも半身麻痺や言語障害,さらには認知機能低下等の症状が現れ,そのような症状が後遺症としてその後の生活に影響を与える.発症後すぐに治療,医学的リハが実施される一方で,QOLの維持,向上にもつながる主体的なADL,IADL,国際生活機能分類(ICF)である活動と参加の再開やつくり直しが地域生活に戻るうえで必要となる.支援を進めるうえで,対象者がこれまで何を大切にされていたのか,これまでできていた行為がどのような要因によって困難になっているのかを知ることが必要である.
生活行為向上マネジメントは,対象者が大切にしている生活行為を把握し,総体的に対象者を捉える視点を有しており,脳血管疾患の人の評価から支援までを検討するうえで有効に活用できるツールである.本稿では,まず生活行為向上マネジメントの概要とそのプロセスを示し,後半は,脳卒中の人への実践例を報告する.
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