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編集後記
東原 英二
pp.760
発行日 2006年12月15日
Published Date 2006/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900768
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本号では「呼吸器疾患を中心とした胸腔鏡下手術」について懇切な解説が特集されている.その中で,「開胸手術ができない医師が胸腔鏡下手術を行っているという,専門性と教育上の問題」という指摘がある.この問題は,鏡視下手術だけのことではなく,また専門科の領域を超えて関係する内容を含んでいるので,思いつくままに意見を述べてみたい.
概念的には,「開創手術は鏡視下手術に比して,適応が広く,技術的に困難な手術にも実施可能である」とされている.鏡視下手術は侵襲性が低いということで普及した.鏡視下手術で治療困難な症例には当初から開創手術が適応で,大出血・臓器損傷を起こした場合には開創手術に転換(conversion)する.開創手術が困難で,鏡視下手術に転換するということは一般的にはない.しかし開創手術で患部を切除できればいいが,手術が難しい症例(いわゆるインオペ症例等も含む)があり,開創手術中に大出血を起こし対処できないことも現実にあり得る.そうすると,「何か新たな手段=P」が開発され,「Pは開創手術に比して,適応が広く,技術的に困難な手術にも実施可能である」ということになればよいということになる.逆に「技術的難易度が高いが鏡視下手術よりも侵襲性がより低い手術手技=Q」が将来生まれるかもしれない.
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