特集 胃癌に対する内視鏡外科
〔エディトリアル〕胃癌に対する内視鏡外科の現況と将来の展望
北野 正剛
1
1大分大学医学部第1外科
pp.369
発行日 2004年8月15日
Published Date 2004/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900513
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胃癌に対する腹腔鏡下手術は,1991年にわが国で開始された1).最初にD1+αを行う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)が行われ,つづいて腹腔鏡下楔状切除術(LWR)2),腹腔鏡下胃内粘膜切除術(IGMR)3)が発表された.その後,腹腔鏡下手術の長所である低侵襲性・早期回復・除痛効果・美容上の利点などが,患者本位の医療を求める時代に適合して著しく普及してきた.本学会のアンケート調査結果によると,2001年までに早期胃癌を中心に約4,552例の腹腔鏡下手術が施行されてきた4).
LWRやIGMRは,原則としてリンパ節郭清を施行しない術式であり,術前検査にてリンパ節転移がないと考えられる粘膜内癌を対象としている.一方,D1+αのリンパ節郭清を行うLADGは,リンパ節転移の危険を有する大きな粘膜内癌,潰瘍瘢痕を有する粘膜内癌,そして軽度の粘膜下層浸潤癌を対象に行われてきた.日本胃癌学会の胃癌治療ガイドラインでは,「臨床研究」として位置づけられているものの,現在その適応が進行癌へと広がっており,D1+βやD2のリンパ節郭清が行われている.これらは,外科医の手術手技の向上をめざした胃癌リンパ節郭清研究会や豚を用いた胃癌リンパ節郭清手技講習会などによるところが大きい.
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