巻頭論文
産婦人科における内視鏡の現況と将来
杉本 修
1
Osamu Sugimoto
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.549-558
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204844
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はじめに
一定の生物学的機能を営んでいる臓器は特定の外観を持ち,その臓器を構成している組織のみならず細胞レベルでも,同様にその形態は特有なものである。したがつて病的状態にある臓器あるいは組織は生理的状態とは違つた特異な外観を示す。視診が臨床診断学の重要な分野を占める所以であり,時には視診のみでも比較的正確な病態診断が可能である。内視鏡検査の最大の目的は肉眼で直達しえない臓器の遊離面を,いわゆる内視鏡を用いて拡大し,観察しようとすることである。最近の内視鏡の開発は著しい進歩をみせ,体腔間隙のあるところ内視できないところはないといつても過言ではない。
わが領域でもコルホスコピーをはじめ,ラパロスコヒー,カルドスコピー,ヒステロスコピー,羊水鏡検査,膀胱鏡検在,直腸鏡検査が一部の機関で使われはじめているが,その普及率は欧米に比べると格段に低い。全ての内視鏡に共通している構造上の特徴は,局所を照明するための光源,像をとらえ伝達するレンズ系およびその記録装置を備えていることである。そしてそれぞれの検査対象になる臓器に適した機構が工夫されているものや,できるだけ多くの臓器を見るための多目的のパンエンドスコープも作られている。
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