研究会報告
第1回経肛門的内視鏡下手術研究会報告
高橋 宣胖
1
,
荒木 靖三
2
,
金平 永二
3
1東京慈恵会医科大学青戸病院外科
2久留米大学医療センター外科
3金沢大学医学部第1外科
pp.503-504
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900157
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第1回経肛門的内視鏡下手術研究会を終えて
みなさまのおかげで,1996年12月5日に第1回経肛門的内視鏡下手術研究会を開催し,無事に終了することができました.この研究会は,ドイツのBuessらにより開発され,近年わが国に導入されたtrans-anal endoscopic microsurgery(TEM)に関心をもっ先生方のご賛同,ご協力により誕生したもので,日本内視鏡外科学会理事長出月康夫先生のご配慮により,日本内視鏡外科学会公認の研究会として発足することができました.また,第9回日本内視鏡外科学会会長北島政樹先生のご厚意により,同学会の最終日にあわせて開催できました.両教授に誌面を借りて御礼申し上げる次第です.
TEMは,EMRの適応にならず,従来,経仙骨的アプローチや,低位前方切除あるいは直腸切断術によって対処されてきた直腸領域の腫瘍を,特殊な装置を用いて内視鏡的に切除する方法です.患者さんに対する侵襲を少なくするとともに,QOLを維持できる点で臨床的に有用な術式といえましょう.当初,TEMの対象は腺腫でしたが,現在では,その守備範囲は早期直腸癌の一部や炎症疾患にまで及ぼうとしています.関与する領域は大腸のなかの直腸のみというマイナーなものですが,そこに含まれる疾患が多彩なこと,頻度が高いことを考えますと,TEMあるいはそのバリエーションの果たす臨床的役割には,今後大いに期待がもてると思います.
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