特集1 救急医療のリベラルアーツ ドクターカー&ヘリ運用の今を問う
【Part 2】運用に関わる論点を知る
4.ドクターカーは24時間運用すべきか?
船木 裕
1
,
本村 友一
1
,
許 敬高
2
,
山内 素直
2
Yutaka FUNAKI
1
,
Tomokazu MOTOMURA
1
,
Kyongo HO
2
,
Sunao YAMAUCHI
2
1日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
2友愛医療センター 救急科
pp.36-39
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200042
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多様化・高度化するドクターカー運用
ドクターカーは,病院前への医師派遣を可能とするシステムであり,消防からの要請により出動し,救急車とドッキング後,患者に早期医療介入を開始できる。そして,病院前で患者の生理学的安定化を図り,医療機関での早期の根治術につながる高度な情報を送りつつ,患者を搬送する。近年の報告では,ドクターカーの運用はさらに範囲を広げ,さまざまな用途や目的で用いられている。
2016年に相模原市で発生した障害者施設での多数傷病者事案では,3施設からドクターカーによって医療チームが現場介入し,トリアージ,安定化処置,受け入れ医療機関への傷病者情報提供,搬送先の選定がなされた2)。この傷病者45人中19人が心肺停止であった事案では,防ぎ得た死(PTD*1)はなかったと報告されており,多数傷病者発生事案での有用性が示された。
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