臨床外科交見室
ドクターカーと救急救命士
村上 穆
1
1国立水戸病院外科
pp.1496
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902144
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わが国におけるDOA(来院時心肺停止状態)患者の救命率が欧米諸国に比べてきわめて低いことから,平成2年8月,厚生省の救急医療体制検討小委員会より「DOA患者を中心に緊急に取り組むべき方策について」という中間報告が,また自治省消防庁の救急業務研究会小委員会より「救命率向上のための方策について」という中間報告が出されたのを受けて,茨城県では茨城県救急医療対策協議会のなかに「茨城県DOA患者救命対策専門会議」を設けました.DOA患者の救命対策や施策の在り方について協議し,平成2年11月5日,『茨城県におけるDOA患者の救命率向上対策についての答申』が県知事あてに提出されました.このなかに「できる限り早い時期に試行可能な地域においてドクターカーモデル事業を導入すべきである」という一節があり,当時の渡辺 晃国立水戸病院長(現・名誉院長)が専門会議議長であったこともあって,平成3年1月16日より,国立水戸病院の医局を挙げての協力により,ドクターカーの試行運用が開始されました.
事前調査では,水戸市消防本部管内における平成2年1月1日から7月31日までの7か月間のDOA患者は67名で,1週間後の生存者は3名,救命率はわずか4.5%でした.それがドクターカー試行運用後の平成3年には,1週間後の救命率が13.3%と飛躍的に改善され,ドクターカーの有用性が証明されました.
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