連載 裏庭でソロキャンプ・第4回
約束
東 秀律
1
1日本赤十字社和歌山医療センター 救急科・集中治療部
pp.473-475
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200117
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まだ後期研修医(卒後4年目)だった頃、救命救急センターで30歳男性の救急患者を担当した。1時間前からの腰背部痛で、歩いて救急を受診。特に既往歴はなく生来健康。奥さんと小さいお子さんもおり、年齢も家族構成も僕と同じだったので、こちらは勝手に親しみを感じていた。
尿管結石症をまず考える発症の経過と症状であったため、鎮痛薬を投与して、ほかの救急患者の診療を優先させてしまっていた。来院後、状態はずっと落ち着いていたが、1時間ほど経過した後で痛みが急に肩甲骨のあたりまで広がり、あまりに痛がるので様子が変だと、担当看護師から連絡を受けた。「まさか」と思い、急いで撮影したCT検査で急性A型大動脈解離と判明した。経験も少ない当時の僕にとって、当初の症状からはまったくの想定外の疾患だった。
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