寝たきり老人の訪問看護
見えない‘約束’
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.974-975
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917979
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初めての道を通り,迷ったり,行き先が見当たらなくてウロウロしているようなときに,‘どうしましたか’と声をかけられると,よけいなおせっかいをされたと思うより,どうしたらいいかしらと思い始めていたタイミングのよさに,警戒心よりも安ど感の方が先に出るのではないかと思います.大げさな言い方をすれば地獄で会った仏様のように思えるときすらあります.看護の役割の中にも,このような働きかけはないでしょうか.
体力の衰えを感じ,自分の体でありながら自分の体がままならないときに受ける言動の1つ1つは,敏感に受け止められるのではないかと思います.‘寝たきり老人’もまた同様です.私たちは,自分の質問に対して的確に答えてくれないと,少し頭がおかしいとか,とうとう呆けてしまったとか簡単に決めてしまう傾向はないでしょうか.
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