特集1 救急医療のリベラルアーツ ドクターカー&ヘリ運用の今を問う
【Part 2】運用に関わる論点を知る
【コラム】ドクターヘリで県を跨いだミッションを成功させるには
板井 純治
1
Junji ITAI
1
1広島大学大学院 救急集中治療医学
pp.32-34
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200041
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ドクターヘリは,救急診療に必要な機器および医薬品を装備した救急医療用ヘリコプターであり,救急診療に精通したフライトドクターとフライトナースが搭乗して,交通事故や傷病の発生現場へと出動し,病院前救急医療を展開する*1。
日本では2001年に運航が開始されてから20年以上が経過し,ついに2022年4月にはすべての都道府県でドクターヘリの運用が行われるようになった。これによってほぼ1県1基地以上の体制が確保されたが,年々増加する要請件数への対応,重複要請時の代替手段の構築,運航時間の拡大など,質的課題はまだまだ多い。
なかでも問題となるのは,ドクターヘリは都道府県単位の体制であり,それぞれの面積や基地病院の位置によっては,必ずしも県全体をカバーできる場所に基地を設置できるわけではないことである。その場合,隣県の基地病院のほうが短距離であれば優先して他県へと出動する取り組みも広がっているが,県境を越えるドクターヘリ出動には課題も多い。
本稿では,筆者の活動拠点である広島県ドクターヘリを中心とした,中国地方5県および愛媛県とのヘリ広域連携について,運用の実態を紹介する。
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