別冊秋号 オピオイド
PART2 基礎編
27 オピオイドと報酬系
南 雅文
1
1北海道大学大学院薬学研究院 薬理学研究室
pp.175-179
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200309
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オピオイド鎮痛薬による薬物依存には報酬系の活性化が深く関与している。腹側被蓋野から側坐核に投射するドパミン神経は報酬系において中心的な役割を果たしている。オピオイド鎮痛薬は,腹側被蓋野において抑制性のγ-aminobutyric acid(GABA)神経情報伝達を抑制することにより,ドパミン神経への抑制性入力を減弱させ報酬系を活性化させる。さらに,近年の研究で,痛み刺激は腹側被蓋野のGABA神経を活性化することで報酬系を抑制し,不快あるいは嫌悪情動(以下,嫌悪情動)を惹起すること,さらに,オピオイド鎮痛薬は,この嫌悪情動惹起の神経回路にも作用することが明らかになってきた。
本稿では,報酬系の調節におけるオピオイド神経情報伝達の役割について概説する。
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