別冊秋号 —麻酔科医なら知っておきたい—血栓症・塞栓症
PART5 その他の塞栓
31 腹腔鏡下手術におけるガス塞栓
鈴木 昭広
1
1自治医科大学附属病院 麻酔科/周術期管理担当部門
pp.227-230
発行日 2021年9月17日
Published Date 2021/9/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200249
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腹腔鏡下手術は,現在では外科系で実施しない科はほとんどないと言える。気腹ガスとしては,もっぱら二酸化炭素(CO2)が用いられている。筆者はよく研修医に尋ねる。「人間は酸素を取り込み,二酸化炭素を排出している。麻酔科医もその排出に協力して人工呼吸し換気を調整している。それなのになぜ,外科医は患者がせっかく捨てている二酸化炭素を体内に入れるのか? これはまるで,車の排気ガスを窓から車内に戻すようなものではないのか? ほかのガスではダメなのだろうか? どうせなら,人体にとって必要な酸素を使う,というのはどうだろうか?」と。意外にも,彼らは返答に悩む。本稿を読んで,その答えを理解してほしい。開腹術でも帝王切開などで空気塞栓は起こり得るが,本稿では腹腔鏡下手術を中心にガス塞栓(メモ)を解説する。
Copyright © 2021, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.