カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・27
腹腔鏡下子宮手術
長田 尚夫
1
,
田中 均
1
,
吉田 孝雄
1
,
佐藤 和雄
1
Hisao OSADA
1
1日本大学医学部産婦人科
pp.1367-1372
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901704
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はじめに
歴史的にみた婦人科での腹腔鏡は古く,1970年代には,急性腹症や不妊症領域で臨床応用が盛んに行われてきた.最近になって,腹腔鏡の目的は診断から治療へと大きく変わり,その適応も拡大されて,卵管性不妊(癒着剥離術,卵管開口術,子宮内膜症など)から子宮外妊娠,卵巣嚢腫,子宮筋腫など悪性腫瘍を除く婦人科良性疾患のほとんどが腹腔鏡治療の対象になっている.また,今年の4月より,癒着剥離術,付属器腫瘍摘出術,卵巣部分切除術,子宮外妊娠手術,子宮内膜症病巣除去術の5つが保険診療の適用となったことから,経済的な面での障害が取り除かれ,本格的な腹腔鏡下手術が始まろうとしている.
子宮に行う腹腔鏡下手術には,LAVH(laparo-scopy-assisted vaginal hysterectomy),LH(laparoscopic hysterectomy)ならびに筋腫核出術がある.特にLAVHは,膣式子宮摘出術に腹腔鏡下手術を併用する術式で,従来開腹術の適応であった子宮全摘出術の多くが経膣的に摘出できることから腹腔鏡下手術の大きな恩恵を受けることになり,婦人科領域のminimally invasive sur-geryの代表といえる.
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