別冊秋号 —麻酔科医なら知っておきたい—血栓症・塞栓症
PART3 動脈性血栓
18 周術期心筋梗塞1—急性心筋梗塞
中川 義久
1
1滋賀医科大学 循環器内科
pp.129-133
発行日 2021年9月17日
Published Date 2021/9/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200234
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急性冠症候群(ACS)は,冠動脈のプラークが破裂し,血栓が形成され冠血流が阻害されることにより発症する。冠血流の途絶に引き続いて心筋の壊死が進行すれば心筋梗塞となる。血流を再開させることにより,閉塞したまま保存的に治療した場合に比べて壊死心筋量を減らし,心機能を保持することが可能となる。これを再開通療法と呼び,治療の主眼となる。壊死心筋量も多く,壊死が進行中であることを示すST上昇型急性心筋梗塞においては,迅速かつ確実に合併症なく冠動脈の流れを回復させることが治療のポイントである。一刻も早く再開通を達成するには正しい診断を早く行う必要がある。
日本循環器学会の診療ガイドラインの整備が進み,2019年3月に『急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)』(木村一雄班長)1)が発表された。本稿では,このガイドラインに準じてST上昇型急性心筋梗塞の診断と治療について解説する。また,麻酔科医が知っておくべき,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)術後の非心臓手術周術期の心筋梗塞予防のための注意点についても概説する。
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