特集 既存のガイドラインを透析患者にどう活用するか
2.急性心筋梗塞
伊苅 裕二
1
1東海大学医学部循環器内科
キーワード:
ST 上昇型急性心筋梗塞
,
心電図
,
トロポニン
Keyword:
ST 上昇型急性心筋梗塞
,
心電図
,
トロポニン
pp.1005-1007
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000983
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急性心筋梗塞の診断のガイドラインによると,典型的な胸痛を示す患者には来院後10 分以内に心電図を行い,またトロポニン検査にて診断を確定する.ところが,透析患者においては糖尿病例の多くで無痛性であり,また透析導入時にすでに重篤な肺水腫を経験していることから,心筋梗塞の胸痛をあまり重大なことではないと考える例も多い.心電図では透析症例は高血圧性心疾患の合併によりもともとST の変化があるうえ,日常的にカリウムの値が変化するため心電図の偽陽性が多い.さらにトロポニンは腎排泄のため心筋梗塞でなくても高くなっており,やはり偽陽性が多い.通常のガイドラインを適用することは困難であり,診断法の確立が今後必要であると考える.
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