今月の主題 今日の心不全診療
基礎疾患による治療法の選択
急性心筋梗塞
出川 敏行
1
1東邦大学大橋病院第3内科
pp.650-653
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221629
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近年,CCUの普及に伴い急性心筋梗塞の不整脈死の頻度は著しく減少し,急性左心不全による死亡が大部分を占めるようになった.したがって,急性心筋梗塞の予後を左右する因子は心不全の有無とその程度であるといわれ,CCUにおいては急性左心不全に対する早期診断と治療が重要な課題となっている.
従来,急性心筋梗塞に伴う左心不全の治療は,左室の収縮力を増強させる強心剤,利尿剤および前後負荷を軽減する血管拡張剤が主体となっていたが,最近ではこれらの保存的療法に加え,左心不全の程度と関連する梗塞サイズを軽減させる目的で冠動脈再灌流療法(冠動脈内血栓溶解療法;PTCR,冠動脈形成術;PTCA)が広く行われるようになり,死亡率の低下とともに急性期から慢性期にかけて心不全の治療に難渋する例も少なくなってきた.しかし,各種治療法を行うにあたっては,血行動態の十分な把握と,それらに基づく治療法の選択が重要である.
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