別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第15夜 ある術中覚醒の物語—To err is human(人は誰でも間違える)
白石 としえ
1
1四谷メディカルキューブ 麻酔科
pp.89-95
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200130
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
術中覚醒の発生率は,報告によって異なるものの,0.1〜0.2%程度1)といわれている。術中覚醒のほとんどは継続時間にして5分以内2),また経験者の約半数が精神的なトラウマを受ける3)といわれている。しかし術中どのように覚醒していたか,その程度はさまざまで,心臓外科の人工心肺中に動けず金縛りにあったようだったとか,外傷による出血性ショックの手術で麻酔薬を一時的に下げたあるいはOFFにした間に周囲の話し声が聞こえた…などがよくあるパターンであろうか。
今回私が紹介するのは真のノンフィクション,ある大胆な術中覚醒のインシデント,そしてその患者の人生,それと向き合う医師の物語である*1。
Copyright © 2020, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.