別冊秋号 血圧
4 小児の成長と血圧
戸田 雄一郎
1
1川崎医科大学 麻酔・集中治療医学2
pp.25-30
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200081
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受精卵〜心臓・血管の発育
胎芽の心臓,血管系は胎生2週までは発育がなく,子宮胎盤血流により栄養されている。2週目の終わりに胎芽は胚盤葉上層細胞と胚盤葉下層細胞で形成される2層構造となってくる。そして胚盤上層細胞から外胚葉,中胚葉,内胚葉が形成される(図1A)。3週目になると中胚葉から心臓血管系の形成が始まり,これが脊椎動物の最初に機能する臓器にあたるといわれている。中胚葉の側板と呼ばれる場所が左右から中央に向かって融合して心筒heart tubeを形成する(図1A〜C)。心筒は神経管の腹側に位置する前腸のさらに腹側に頭側から尾側に伸びるように形成される1)。さらに心筒は通常Dループという方向性で回旋しながら発達し,心臓の各部位に分化していく(図2)2)。
血球と血管も同じく中胚葉から発生する。胎生20日頃から卵黄囊に血島と呼ばれる部位が形成され,これが血管や血球細胞の原基となる。胎生25日頃から卵黄囊壁内で造血が始まり,これは胎生2か月過ぎまで続く。これと重なるように造血幹細胞が形成され,3〜6か月は肝臓が造血の中心となるが,妊娠後期には骨髄へと移行する。血管内腔が形成されると同時進行で造血幹細胞が内腔へ発生し,また血管同士も癒合し成長していく。どの時点からいわゆる“血圧”が測定できているのかは不明であるが,少なくとも8週では卵黄囊に血流が確認できている3)。また11〜13週で静脈管の血流も確認されており4),10〜11週で心臓の四腔像もほぼ可視化できるといわれる5)。
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