今月の主題 小児の成長・発育と臨床検査
巻頭言
小児の成長・発育と臨床検査
菅野 剛史
1
Takashi KANNO
1
1浜松市医療公社
pp.611-612
発行日 2004年6月15日
Published Date 2004/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100509
- 有料閲覧
- 文献概要
少子化の傾向が強くなってきたとともに,エンゼルプランなる施策が少子化対策として平成6年 (1994年) 以降で推進されている.この施策が正しく推進され,効果を挙げるために,臨床検査の領域に携わる者に,何か役に立つことはないのであろうか? シルバープランの恩恵を目前にしている人物から提案されたのが,この特集であると考えてよい.一般に,このエンゼルプランを推進しているのは保育サービス,子育ての環境支援のような領域に携わる人たちである.しかし,母子保健医療という視点で正しく小児医療を見つめる視点が確立されていないと,健全な子どもは育たないし,一方,われわれは専門外の人間として片隅に押しやられ,重要な視点の埒外として抜かされていく危険性がある.
臨床検査が医療のなかで重要な位置を占めるようになって,何年が経過しているのであろうか.その間に検査のデータの施設間差は解消し,基準範囲は共有化されようとしている.日常診療で利用した検査のデータをそのまま他施設への依頼状に記載する(将来は記載する必要がなくなるかもしれない)ことで,情報の共有化は格段と進んでいる.このような現実の前に,小児領域での検査の利用も格段の変化を遂げるに違いない.年齢差,性差の微妙な変化が生理的変動の結果としてのみで理解されてよいのであろうか.そして,この小児の基準範囲の問題も近い将来に取り上げられるに違いない.しかし,その前提に,小児のもつ小児としての特性・問題点が十分に理解されている必要があるものと考える.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.