特集 STI/HIV
Part 1 STI:症状からのアプローチを中心に
【コラム①】風土病性トレポネーマ症—yaws(イチゴ腫),bejel(べジェル),pinta(ピンタ)
篠原 浩
1,2
Koh SHINOHARA
1,2
1京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学
2京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部
pp.848-853
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901208
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梅毒の流行が問題となっているが,ヒトにおけるトレポネーマ症には梅毒以外にyaws(イチゴ腫),bejel(べジェル),pinta(ピンタ)があり,風土病性トレポネーマ症とよばれている。その呼称のとおり,特定の地域でのみ流行し,非性的接触で感染するとされ,主に小児期に罹患する。一方,皮膚における肉芽腫病変や潰瘍病変を呈し,未治療の患者では骨や軟骨などに破壊性の合併症を生じ得ることが梅毒と共通している。
しかし近年,風土病性トレポネーマ症の1つであるbejelの原因となるTreponema pallidum subsp. endemicum(TEN)が,梅毒と診断された性的に活動性の高い男性から検出された事例が,流行地外から相次いで報告されている。
本稿では,筆者が経験したTEN感染例を提示するとともに,風土病性トレポネーマ症,および近年報告されている流行地域外のTEN感染例について概説する。
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