Derm.2012
風土病から全国区へ
天野 正宏
1
1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
pp.15
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103279
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成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL)は,2009年に浅野史郎・前宮城県知事が急性型を発症し,化学療法後に“ミニ移植”(骨髄非破壊的移植)を受け寬解状態となり,その後マスメディアを通してご自身の治療経験を積極的に語られたことで,ご存知の方も多いのではなかろうか.九州南西部に多く,発症するとその約半数に皮膚への浸潤(特異疹)が認められ,当教室では20数年前からATLLの診療および研究にたずさわってきた.
『母乳や性交渉で感染するATLLなどの原因ウイルス「HTLV-1」について,菅直人首相(当時)は8日,官邸に特命チームを作り,感染拡大防止や治療方針の開発に乗り出す方針を示した.(中略)これまでは感染者が九州・沖縄に多く,厚生省研究班(当時)は1990年の報告書で「感染率の高い地域以外での対策は不要」と報告.同省は「風土病」とみなし,長年対応を自治体任せにしてきたが,最近は人口移動などで感染者は全国に広がった(2010年9月9日付毎日新聞朝刊から引用).』
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