特集 身体診察
症例編
12.フォーカス不明の発熱—不明熱診療における身体診察の勘所
家 研也
1,2
Kenya IE
1,2
1聖マリアンナ医科大学
2川崎市立多摩病院 総合診療内科
pp.179-184
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901010
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いわゆる古典的不明熱も含めた発熱性疾患の診療において,身体診察にはどのような役割があるだろうか。そもそも不明熱は,身体所見が乏しいからこそ「不明」熱なのであり,初診時の網羅的な病歴・診察に過剰にこだわると,診断の遅れやノイズ情報による方針迷走につながるおそれがある。一方,すべての発熱性疾患は診断がつくまでは「不明」熱であるため,よくある熱源を見逃せば,すべて不明熱化させてしまう。こうしたフォーカス不明の発熱に対峙する際は,緊急性の評価に続いて次の2モード,すなわち,①「型」に基づくルーチン診察モードと,②診断の鍵(potentially diagnostic clues:PDCs)をねらうモードを,戦略的に組み合わせる必要がある。
メリハリをつけた熱源診察の体得は,フォーカス不明発熱での勝ちパターンにつながる。特にPDCs探しのコツは患者情報に基づく適切な診察にある。例えば,発熱+「皮疹」,発熱+「関節痛」,発熱+「海外帰り」,発熱+「CRP*1陰性」,発熱+「CTや各種検査で異常なし」などとなれば,次のアクションはとりやすい。常に病歴や検査情報とリンクさせ,目の前の患者の発熱+αの「α」が何かを意識することが,フォーカス不明の発熱における身体診察のポイントである。
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