特集 膠原病2
【ミニコラム③】免疫関連有害事象(irAE)と自己免疫疾患—T細胞の活性化が引き起こす多彩な全身症状とそのマネジメント
山口 央
1
Ou YAMAGUCHI
1
1埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器内科
pp.230-243
発行日 2021年7月29日
Published Date 2021/7/29
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900873
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免疫チェックポイント阻害薬(ICI*1)は,多癌種に適応となり,すでに癌薬物療法の主流となっている。ICIの特筆すべき点は,従来の化学療法に比べて長期の生存が期待できることであるが,ICIによる免疫関連有害事象(irAE*2)が一定頻度で認められ,irAE発症を契機にADLの低下をきたしたり,重症例では死亡に至ったりすることもある。主にT細胞の活性化による多彩な全身症状が知られており,内科医のジェネラリズムが問われる疾患群ともいえる。その多彩な疾患群のうち,自己免疫疾患の症状に類似するirAEについても多数の報告があり,膠原病専門医にコンサルテーションを行う機会は多い。またICIは,自己免疫疾患を有する患者には慎重投与とされているが,期待される抗腫瘍効果を勘案し,使用を悩むことも多い。
本稿では,ICIが抗腫瘍効果を示すメカニズムを理解するために必須の「癌免疫サイクル」や,irAEの機序について説明したうえで,膠原病専門医がコンサルテーションを受けるであろうirAEおよび自己免疫疾患患者へのICI使用の安全性について概説する。
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