特集 膠原病2
【ミニコラム②】免疫学から考える1mg/kg/日のステロイドの減量法—「すみやかに減らしたいが,減らすと再発」のジレンマにどう向き合うか?
須田 万勢
1,2
Masei SUDA
1,2
1諏訪中央病院 リウマチ膠原病内科
2聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
pp.222-228
発行日 2021年7月29日
Published Date 2021/7/29
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900872
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プレドニゾロン換算で1mg/kg/日のステロイドを使うのは,どのような状況だろうか? ほぼ間違いなく,臓器(内臓)障害を含めた重症病態に対し,早期に寛解導入をしたい状況であろう。ステロイドは,臨床症例への最初の投与から約70年が経過した今も,寛解導入療法の中心であり続けている。その理由は,効果が早く,またほぼすべての免疫細胞に及び1),しかも強力かつ確実に免疫システムを抑制するからである。
1mg/kg/日のステロイドを使うことは,誰にでもできる。しかし,それをどれだけ継続し,どのように減量していくか,つまり寛解導入から維持療法への移行過程においては,さまざまな要素を勘案した総合的な判断力が必要となる。ステロイドは,なるべくすみやかに減らしたい,しかしすぐに減らすと再発が…といったジレンマに,常に陥る。副作用と再発リスクのバランスをとりながら,ステロイド減量という細く長い道で患者を導いていくガイディングが,膠原病科の専門性かつ醍醐味の1つである。
本稿は,膠原病科医が「1mg/kg/日のステロイド」からの減量を進めていく思考過程を,over-simplifyした免疫学をもって紐解くことを目標とする。
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