Editorial
診断エラーを減らすために
徳田 安春
1
1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター
pp.539
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102896
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医療の質・安全の重要性が叫ばれている.エラーの原因はシステムエラーが多く,システム改善で質・安全は向上することが力説されている.チェックリスト(バンドル)やTeamSTEPPSなどの導入によるシステム的介入が質・安全の改善に有効であることが証明され,どんどん広まってきている.しかしながら医療の機能は,個々の医師の診断と治療における判断に頼る部分が依然として大きい.
治療に関しては診療ガイドラインやシミュレーショントレーニングの導入などにより標準化とエラーの減少効果が期待されている.一方,診断エラーを減らすことについては最も遅れた分野であり,まだまだ改善の余地がある.実際,わが国において,医療過誤における医師側敗訴のリスクは訴訟ケースの事故要因として診断エラーが原因であったということを,われわれは確認している1).検査前確率や陽性・陰性尤度比など,EBMの手法を導入することにより,診断スキルについてある程度の改善をもたらすことはできた.比較的まれではあるが見逃してはならない疾患の除外を正確に行うためには,EBMの手法のみでは難しい.
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