特集 周術期マネジメント
【ミニコラム】副腎不全の周術期の問題点—ステロイド長期服用患者におけるステロイドカバーは必要か?
宇都 飛鳥
1
,
宮下 和季
1
Asuka UTO
1
,
Kazutoshi MIYASHITA
1
1慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科
pp.360-362
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900169
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グルココルチコイドは血糖に影響を与えるステロイドの総称で,ヒトではコルチゾール(=ヒドロコルチゾン)が代表的である。1949年にグルココルチコイドが臨床応用されるようになって以来,その抗炎症作用,免疫抑制作用により,副腎不全をきたす内分泌疾患のみならず,自己免疫疾患や血液疾患など,これまで予後不良,致死的だった疾患を救命できるようになり,各分野に多大な恩恵をもたらしてきた。
一方で,グルココルチコイドの長期服用例では,視床下部-下垂体-副腎皮質系hypothalamic-pituitary-adrenal(HPA)axisで制御される,内因性のステロイド産生系への抑制効果を生じることが報告されている。また,HPA axisに影響を及ぼすような下垂体や副腎の手術では,ステロイド産生が不足して急性副腎不全をきたす可能性がある。
本稿では,周術期に副腎不全を発症し得る,ステロイド長期服用例に対して手術加療を行う際のステロイド補償(ステロイドカバー)や,HPA axisに影響を及ぼすような手術の周術期管理を示す。また,当院で行っている下垂体手術時のステロイド減量投与法の実際について述べる。
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