特集 ホスピタリストに必要な手技
腰椎・関節・骨髄穿刺
【ミニコラム②】僻地離島で役立った骨髄穿刺と骨髄生検—「地域における医療の限界」を担う立場から
中島 知
1
,
井澤 純一
1
Tomo NAKAJIMA
1
,
Junichi IZAWA
1
1沖縄県立八重山病院 内科
pp.554-557
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900814
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離島ではさまざまな理由により,島外や遠方の医療機関へ紹介を行うことは容易でない。高齢で島から出たことがない,移動に付き添いを必要とする,経済的な問題がある,最期の時を島で迎える決意をしているなど,日々,患者の社会的背景を尊重しつつ,相談しながら方針を決定していかなければならない。また,疾患によっては長距離移動による治療開始の遅れがデメリットとなることも考慮しなければならない。
僻地離島では特にいえることだが,担当医師の診療能力が「その地域における医療の限界」を定義する。僻地離島では,たとえ診断困難に陥ったとしても,紹介できる先も,患者がほかに選択できる医療機関も地域にはなく,「この地域における医療の限界」を自身が定義していることに気づかされる機会は多い。専門家不在の地域が生じないような医療体制を構築していくことが理想ではあるが,現実は間に合っていない。そして僻地離島の臨床現場では,判断に迷うケースは少なくない。筆者にとって,そのように判断に迷った場面で進むべき方向を指し示してくれた手技が骨髄検査であった。
本稿では,血液内科医が不在かつ紹介もままならない離島(石垣島)の環境での,実際に骨髄検査が役立った症例について紹介する。悩める日々の診療の一助になれば幸いである。
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