特集 ホスピタリストのための画像診断—①胸部・縦隔編
【各論(胸部疾患)】
5.肺の感染症—嚥下性肺疾患を小葉構造から考える
黒﨑 敦子
1
Atsuko KUROSAKI
1
1公益財団法人結核予防会 複十字病院 放射線診療部
pp.237-242
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900777
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
嚥下性肺疾患について
嚥下性肺疾患は,誤嚥物の性状,量,分布などにより,①誤嚥性(嚥下性)肺炎(通常型),②人工呼吸器関連肺炎,③Mendelson症候群,④びまん性嚥下性細気管支炎diffuse aspiration bronchiolitis(DAB)の4つに分類されている(図2)1)。第三者によって確認できるような顕性誤嚥よりも,就寝中ないしは仰臥中における口腔内容物の少量持続的な誤嚥(不顕性誤嚥)によることが多い。嚥下性肺疾患は,食事摂取とは無関係に発症するため,絶食中あるいは胃瘻留置中であっても生じ得る。
誤嚥性肺炎(通常型)は肺の急性炎症で,市中肺炎によることもあれば介護施設で起こることもある。口腔内細菌(グラム陽性球菌,グラム陰性桿菌,嫌気性菌)の誤嚥が原因となる。画像では,下肺背側優位の気道に沿った分布の多発する結節や浸潤影といった急性気管支肺炎の形をとることが多い2)*1(表1)。肺膿瘍や空洞形成が生じることや,肺炎随伴性胸水や膿胸をきたすこともある。
Copyright © 2020, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.