今月の表紙
浸潤性小葉癌
森谷 卓也
1
,
山本 裕
2
1川崎医科大学病理学2
2川崎医科大学乳腺甲状腺外科
pp.231
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104201
- 有料閲覧
- 文献概要
【症例の概要】
50歳代,女性.乳房腫瘤を自覚し来院.超音波検査で左乳房に充実性の低エコー腫瘤を認めた(図1).縦横比が大きく,境界部は不明瞭で,前方境界線は断裂しており,haloを伴っていた.後方エコーは減弱し,カテゴリー5とされた.エラストグラフィでは低エコー域全体に青色調が目立ち,歪みはみられなかった(図2).針生検で浸潤性小葉癌と診断され,乳房摘出術が施行された.肉眼的には,乳腺実質~脂肪織内に境界が不明瞭かつ充実性の,やや透明感を有する腫瘤がみられた(図3).組織学的には,脂肪組織を巻き込むように浸潤する58mm以下の多発癌で(図4),豊富な間質内に均質な癌細胞が細い索状胞巣を形成していた(図5).癌細胞相互の結合性はやや緩く,細胞質内に粘液産生もみられた.癌細胞はエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体が陽性で,HER2は陰性であった.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.