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■ホスピタリストにはEBMが必要である
ホスピタリストは,内科全般の疾患を中心とした,さまざまな疾患・臓器を対象とする。そのため,幅広い分野についてある一定のレベルの知識が要求される。またホスピタリストは,しばしば自らの担当症例を適切なタイミングで,適切なスペシャリストにコンサルトしなくてはならない。この場合も,ある程度その疾患に対する知識をもっていないと,コンサルトのタイミングを逃したり,またディスカッションする場合にもそれが成り立たないであろう。しかし,昨今の医学の進歩は目覚ましく,この幅広い分野についての知識を常にアップデートし続けていくのはなかなか困難である。また,経験数で補おうとしても,ホスピタリストは扱う疾患の幅が広い分,各疾患ごとの経験数は少なくなりやすい傾向にある。こういった仕事環境のなかで働くホスピタリストにとって,日常で遭遇するさまざまな問題や疑問に対してどうアプローチしていくかは大きな課題の1つである。また,自らの臨床能力を向上させるためのセルフトレーニングの方法も,悩ましいところである。
これらの課題に対する1つの解決策として,ホスピタリストは初期診断と初期治療に必要な一定の知識をもちつつ,必要に応じて,①臨床疑問を明確化し,②効率よく情報収集し,③その情報を吟味し,④自分の臨床に適用する,という方法が浮かび上がってくる。この方法を身につけ洗練していくことができれば,日常臨床で遭遇する大抵の疑問には対処できるようになり,また,これを繰り返すことで内科医としての臨床能力も向上していくであろう。この①〜④の過程に「⑤:①〜④を振り返る」を加えると,Sackettら1)により2000年に提唱された「EBMの5つのStep」になる(表1)。すなわち,EBMを実践することは,特にホスピタリストにとって臨床能力の向上やセルフトレーニングに直結する手段である。以下,ホスピタリストにとって必要な,EBMを実践する力とは何かについて考えてみたい。
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