視座
EBMの物足りなさ—EBMからNBMへ
斎藤 充
1
Mitsuru SAITO
1
1東京慈恵会医科大学整形外科学講座
pp.1411
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202195
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「それ,ガイドラインにのっとった治療ですか?」「はい,エビデンスレベルの高い研究論文をもとに治療をしています」.よくあるやりとりである.しかし,日々,患者さんと接するほど,個々の多様性を感じるようになり,ガイドライン通りの治療に限界を感じることもまれではない.
Shojaniaはシステマティックレビューの結論は,その後2年で20%が覆されることを報告している.臨床研究による知見(エビデンス)は常に暫定的であるからこそ,ガイドラインは一定の周期で改訂され続ける.私が研修医のころは,手術の際に局所を希釈イソジン洗浄するなど愚かな行いと揶揄された.しかし,今やガイドラインでも,それを推奨するに至っている.先輩はやみくもに新しい取り組みをしたわけではなかったのである.
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