特集 ホスピタリスト宣言
【Healthcare Systems各論】
6.コミュニケーション能力—大工と話すときは,大工の言葉を使え
清田 雅智
1
Masatomo KIYOTA
1
1飯塚病院 総合診療科
pp.85-94
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
何も医療に限らず,コミュニケーションを円滑にとることは,あらゆる人間の営みで必要なことは論を俟たない。それでは,医学の分野では,なぜ,今さらコミュニケーションを強調するのであろうか。それは,裏を返すと,コミュニケーションを円滑に行うのは実際には難しいからであろう。コミュニケーションという題目が,頭のなかでは重要であると理解しているつもりでも,実践できているのかというと,そう簡単ではない。コミュニケーションとは常に相手がいて成立するものであり,自分が努力しているつもりでも,相手の心に響かないことには良好な関係性が成立しない,という根源的な問題がある。実際に,ICUに入室する状況での家族説明では,家族は医師の言っていることの半分くらいしか理解できていない1)という報告もある。
しかし,神でもないかぎり,他人をすべて受け入れるような度量はないだろうし,逆にあらゆる他人を納得させるような能力をもっているわけでもない。まさに人間としての「業」があるからこそ,コミュニケーションを完璧にとることは,どだい無理なのだろう。そうはいっても,職業人としてうまく機能するため,コミュニケーション能力をより高くしようとする努力をせざるを得ず,そのために目標を設定しよう,というのが背景にはあると解釈している。
この章では日々の臨床の現場で,ホスピタリストにどのようなコミュニケーション能力が求められているか,具体的な場面を想定しながら検討する。
Copyright © 2013, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.