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日本整形外科学会は,2019年7月10日に,『タスク・シフティング推進に関するヒアリング』を作成した1)。このなかで,同学会が,時間外で侵襲的な専門処置の必要性のない入院患者の初期対応について,その業務内容をホスピタリスト(病院総合医)に移管する提案をしていることを,読者の皆様はご存じであろうか? 理由として,骨折などがあっても当日に緊急で侵襲的な処置が必要なければ,患部の固定・全身管理・手術に備えた検査の指示などを行えば専門医を呼び出す必要はないこと,総合診療部と救急部のユニット化などで予定外入院経路を確立し,ホスピタリストの養成・適正配置・勤務形態の調整などを行えば移管可能であることが挙げられている。そのボリュームは予定外入院の半数とされており,それなりの仕事量である。
大腿骨頸部骨折は,この提言で想定されている骨折の1つであろう。この提言が実現すれば,ホスピタリストが大腿骨頸部骨折の診断を行い,耐術性と手術のタイミングを評価し,緊急手術が必要な場合には整形外科医や麻酔科医を呼び出す判断を下すことになる。
私は1999年に鹿児島大学を卒業し,九州大学整形外科に入局した。以来,九州大学整形外科の関連病院で整形外科医として勤務した。2022年4月から飯塚病院に異動し,現在は総合診療科内の整形外科業務に携わっている。約1年間,総合診療科の釜の飯を食った現在,令和の整形外科医のベストパートナーはホスピタリストであると確信している。
本稿では,大腿骨頸部骨折に関して,整形外科医の視点から,コマネジメントを行うホスピタリストや内科医に伝えたいメッセージをまとめる。ガイドラインや文献にある形式知のほか,経験知も加えて,整形外科医の肉声をお伝えしたい。
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