私の分娩体験記
否定の言葉は使わないで
葛西 イネ子
1
1前江東病院
pp.699-704
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900152
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私は,昭和63年8月,長男を出産,昨年12月には二男を出産,現在は母親業に専念している助産婦である。この間,子育てのむずかしさ,年子の子育ての大変さを痛感,ときにはマタニティーブルーに近い症状も発生し,精神的にも疲れてしまったことがある。しかし今は,そんな日もあったことが,恥ずかしさとともに,懐かしく思われる。私の人生にとって最大の影響を受けた妊娠・分娩体験は,助産婦を仕事とする身には大変貴重な体験であった。
私は自分が勤務していた病院で出産したので,分娩介助をしたお母さんたちに大いに祝福されてうれしかった。その時の妊産婦たちの思いに,自分の体験をオーバーラップさせることで,妊産婦の心理が理解でき,よき理解者,よき援助者に少し近づけたようにも思われた。2回の妊産褥婦体験においてつちかったこと,そのとき思いめぐらしたことを綴ってみたいと思う。
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