特集 消化管疾患
【コラム】いつから腸管を使うのか?—早期経腸栄養開始のメリットとそのタイミング
鈴木 孝幸
1
Takayuki SUZUKI
1
1University of Utah School of Medicine, Division of Gastroenterology, Hepatology and Nutrition
pp.843-849
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900345
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消化管疾患,特にその急性期における経口摂取または経腸栄養enteral nutrition(EN)の開始時期については,個々の経験からその判断がなされることも多く,実際には判断に迷うこともしばしばある。絶食や完全静脈栄養total parenteral nutrition(TPN)が必要となるケースもあるが,それらを無用に長引かせれば,腸管絨毛の萎縮や機能低下をまねき,さらに感染症のリスクを高めることにつながる。このため,活動性出血や腸閉塞などがなく,腸管が機能していれば,できるだけ早期にENを開始することが重要である。米国では,食文化の違いこそあるが,これらのリスクの回避はもちろん,保険制度の違いなどにより入院日数を1日でも短縮しようという意識が特に強く,日本と比べて,経口摂取またはENをよりすみやかに開始する印象を受ける。本稿では,日常の診療で比較的多く遭遇する消化管出血,憩室炎,急性膵炎,急性胆囊炎,および急性下痢におけるEN開始時期について,これまで筆者が米国で経験したことも交え,文献やガイドラインを参照しつつまとめる。さらに,日本における経腸栄養剤,栄養素の種類や特徴などについても合わせて述べる。
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