特集 循環器疾患1
2.虚血性心疾患:病歴と身体所見の注意点—“Every heart has a pain. Only the way of expression is different.”─Unknown
金澤 健司
1
Kenji KANAZAWA
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.557-567
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900211
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筆者が医学生の時,胸痛を訴える患者の病歴から虚血性心疾患を診断するのは容易と考えていた。SAVES1)*1といわれる症状や心電図異常と,特徴的な所見ばかりであり,診断は簡単に思えたからだ。医師となりreal worldで胸痛を訴えるさまざまな患者を診るにつれて,症状や経過,心電図所見がさまざまであり,労作性狭心症をはじめ,虚血性心疾患の診断が実は難しく,病歴のもつ奥深さを実感することになった。
胸痛を訴える患者に最初に対応する医師の役割は,「患者が虚血性心疾患であるか,ないか」を診断することではなく,「患者に何が起こっているのか」を考えることである。病歴と身体所見から,虚血性心疾患が鑑別診断リストの上位あるいは下位になるのか。「どう考えるか」が患者のマネジメントを決めるだけに,初期対応する医師の役割は大きい。本稿では,病歴の重要性を理解し,現場での手助けになるよう,虚血性心疾患診断における病歴と身体所見のポイントを解説する。
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