用語解説
VUS(variant of unknown significance)
菅野 康吉
1
1栃木県立がんセンター研究所がん遺伝子研究室・がん予防研究室技幹
pp.66-66
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.02.01_0066-0066
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
ヒト遺伝子の塩基配列には個人差があり,個体間の塩基配列の違いは1000塩基に1ヵ所程度(0.1%)と考えられている。一般集団中で100人に1人(1%)以上の頻度で認められる遺伝子変異は遺伝子多型(genetic polymorphism)と呼ばれ,大部分は病的意義のないものであるが,一部が比較的低リスクの,単一あるいは多因子遺伝病の原因遺伝子変異となる場合がある。一方,既知の遺伝性疾患の原因遺伝子に1%以下の頻度で認められる低頻度の変異の多くは検査会社の報告書で意義不明の変異(variant of unknown significance:VUS)として取り扱われる場合が多い。遺伝性乳癌卵巣癌の原因となるBRCA1およびBRCA2(以下BRCA1/2と略す)遺伝子はこれまで最も多くの症例で遺伝子検査が行われ,両遺伝子合わせて1万8千塩基以上の塩基配列が解析される。正常な蛋白質の合成が中断されるような変異は,通常,病的変異(deleterious mutation)と判定される場合が多いが,VUSと判定される場合が全体の数パーセントに認められる。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.