特集 急性心不全
5.急性心不全診療に有用な診察所見,身体所見
金澤 健司
1
Kenji KANAZAWA
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.689-700
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100343
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“Information is only data, parts of the whole”
──RN Anshen(US philosopher)
症状,診察所見,検査所見などはすべて,患者から得られる情報である。情報とは全体像のごく一部を示すにすぎない。1つの情報に振り回されてはいけない。その情報は正確でなくてはならない。また,意思決定decision-makingに有用でなくては意味をなさない。情報は「量」も「質」も大事なのだ。患者の診療は今体で起こっている現象を知ることからすべて始まるので,まさに「情報戦」だ。特に医療面接,身体診察から明らかになる症状・身体所見は,迅速に収集可能な情報であるが,本当に有用な症状・身体所見を正しく収集することは意外と難しい。本稿では,急性心不全の診察所見,特に意思決定に役立つ診察所見を中心に述べる。これらの手技は習熟度によって尤度比likelihood ratio(LR)が異なるので,何度も繰り返して診察に習熟する必要がある。それぞれの診察所見の背後にある根拠rationaleを理解し,ベッドサイドで有用な情報を正しく迅速に収集すること,また,これらをご指導いただくことの一助になれば幸いである。
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