特集 循環器疾患1
【ミニコラム】無症候性心筋虚血:胸痛がない場合は軽症か?—My head all full of stuffin', my heart all full of pain, if I only had a brain.
金澤 健司
1
Kenji KANAZAWA
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.568-572
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900212
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心筋虚血とは心筋で起きる「変化」であり,虚血に伴う胸痛とはそれを脳が「症状」として認識したものである。この「変化」が「症状」へと変換される過程の異常により,両者が一対一対応で生じない場合がある。
無症候性心筋虚血とは,「客観的に心筋虚血が存在するにもかかわらず,狭心症症状が認められない病態」と定義され,1970年代からその存在は報告されていた1)。それ以降,安定狭心症患者では症状のある心筋虚血よりもむしろ頻度が高いこと,無症候性心筋虚血の存在は予後不良の予測因子であることが明らかとなり,その重要性が認識されている。本稿では,無症候性心筋虚血の定義,頻度,機序,治療戦略とその今後を概説する。
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