特集 血液疾患
9.内科で遭遇し得る緊急症:①発熱性好中球減少症(FN)—感染巣,原因菌の精査と並行して広域抗菌薬をすみやかに開始する
木村 俊一
1
Shun-ichi KIMURA
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科
pp.963-973
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900198
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好中球数500/μL未満,とりわけ100/μL未満の好中球減少状態では,全身性の細菌・真菌感染症のリスクが高まる。好中球減少状態でみられる発熱を発熱性好中球減少症febrile neutropenia(FN)とよび,その多くは細菌感染症が原因である。適切な治療が行われないと感染症は重篤化し,致死的となる。好中球減少状態で起きる感染症では炎症所見が出にくく,原因菌や感染臓器が同定されるのは20〜30%程度にすぎないが,FNではそれらが特定できなくてもすみやかに経験的に抗菌薬を投与することが必要である。
本稿では症例を通して,日本,海外のガイドラインに沿った内容で,FNのマネジメントを中心に解説する1〜3)。外来診療に重点をおく米国と日本との治療環境の違いや使用可能な薬物の違いなど,日本と海外の治療の実際も考慮して解説する。
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