特集 血液疾患
5.リンパ節腫脹へのアプローチ—不必要な生検を避け,迅速に治療介入するために
磯部 泰司
1
Yasushi ISOBE
1
1聖マリアンナ医科大学 血液・腫瘍内科
pp.875-882
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900189
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リンパ節腫脹は日常診療でよくみられる症候であり,その多くは自然消退してしまう反応性の腫脹である。しかし,ごくまれに見過ごすことができない疾患が隠れていることがある。通常,治療介入が必要となる,菊池・藤本病(壊死性リンパ節炎),多中心性Castleman病といった炎症性疾患や悪性リンパ腫の確定診断には,リンパ節生検に基づく詳細な組織学的検討が求められる。このような疾患を見いだせるか否かが,ホスピタリストに求められる能力と言える。
リンパ節腫脹の患者が来院した場合に,患者年齢,病歴,リンパ節腫脹の部位と範囲,腫脹期間や全身的な随伴症候をもとに,どのような検査が必要か,リンパ節生検を積極的に施行すべきか否かを判断しなければならない。伝染性単核球症infectious mononucleosisや結核性リンパ節炎tuberculous lymphadenitisは,生検に至る前に診断をつけるべき疾患であり,頭頸部がんの頸部リンパ節転移やVirchow転移は,開放生検を行う前に細胞診で診断をつけるべき疾患である。
本稿では,患者にとって不必要な生検をなるべく避け,迅速に治療介入ができるようにするためにはどうするかという点に着目して述べる。
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