特集 周術期マネジメント
【ミニコラム】長期投与中のβ遮断薬の周術期の使用法—消化管が使用できない場合はどのように継続するか
杉崎 陽一郎
1
Youichirou SUGIZAKI
1
1神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野
pp.238-241
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900153
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周術期の心血管イベントの予防のために,β遮断薬を導入することの是非について,明確な結論は出ていない1)。1990年代には,周術期の心血管イベントの予防にβ遮断薬は有効である2〜5)と相次いで報告されたが,2005年以降の報告6〜10)では,その抑制効果はないとされている。POISE*1trial6)では,心血管イベントの抑制効果は認めたものの,死亡率の上昇や脳梗塞の発症増加を認めた。一因として周術期の低血圧が寄与しているのではないかと考えられた6)が,いずれにしてもその結果は看過できず,現行の欧米のガイドライン11, 12)では,周術期の心血管リスクやRCRI*2をもとにβ遮断薬の導入を検討するとしている。また,長期投与中のβ遮断薬について,各国のガイドライン11〜13)では,「中止せず,同薬を継続する」(ClassⅠ)とされている。しかしながら,消化器系の手術などでは絶食が必要なことも多く,どのように継続すればよいのか,という声をしばしば耳にする。本稿では,そのような場合にどうβ遮断薬を使用するかについて説明する。
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