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米国では虚血性心疾患を合併する非心臓手術患者の比率はわが国より著しく高く,外科医や麻酔科医にとって周術期患者管理における虚血性心疾患(IHD)は大きな研究テーマであった.ACC/AHA非心臓手術患者の周術期心血管系評価ガイドライン(Guidelines for Perioperative Cardiovascular Evaluation for Noncardiac Surgery)は,1980年以来The American Heart Association(AHA)とThe American College of Cardiology(ACC)が精力的に進めてきた心血管疾患におけるガイドライン作りの一環として作成された.その後,2007年に改訂され,さらに2009年にβ遮断薬についての更新が行われた1).European Society of Cardiology(ESC)でもEuropean Society of Anaesthesiology(ESA)の協力の下に2009年にPre-operative Cardiac Risk Assessment and Perioperative Cardiac Management in Non-Cardiac Surgery2)を作成したが,そのエビデンスとなったいくつかのRCT(Randomized Controlled Trial)を根拠とした周術期β遮断薬の使用法をめぐり論文不正という大きな問題が生じたため,2014年8月にACC/AHAならびにESC/ESAガイドラインが改定された3,4).
日本でも,一般人口における高齢化とIHDの増加とともに非心臓手術患者のIHD合併頻度は増加しており,周術期の心血管系評価ならびに管理に関するガイドラインが必要となった.2000年に関東地方の8施設が組織した「虚血心と麻酔研究会」により「虚血性心疾患の非心臓手術の周術期管理に関する多施設共同調査」—第1報,第2報—5,6)が報告され,米国に比較してIHD合併率は低いものの,IHD合併症例の周術期の重症心合併症発生率に差はないことが報告された.しかし,これは大規模無作為試験に基づいたデータではないため,「虚血心と麻酔研究会」は今後学会が中心となり全国規模の調査を行い本邦におけるガイドライン作りをすべきと提唱した.
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