特集 代謝内分泌
はじめに|代謝内分泌のサイエンスとアートに臨むホスピタリストに
大杉 満
1
Mitsuru OHSUGI
1
1国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科
pp.1-2
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900123
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■Cryer教授から教えられたこと
いくつかエピソードをご紹介します。私が内分泌フェローとして研修した際,最も臨床内分泌学を教わった1人に,Philip Cryer教授(Washington University in St. Louis)がいました。低血糖に対する拮抗ホルモンの反応を精査詳述するなど,現代の内分泌学の泰斗と言えます。その研修中,何かの議論の際に私が,「肥満はACTH迅速試験の結果に影響し得る」という,総説か何かで見たうろ覚えの知識を口にした時のこと,即座にCryer教授からその意見には根拠があるのか,あるのならば文献を紹介しなさい,とたしなめられた場面がありました。
糖代謝調節の研究で有名な教授でしたが,下垂体ホルモン異常で著名なWilliam H. Daughaday教授の薫陶を受けていて,その知識は該博でした。私も全力で文献を検索し,他の内分泌科専門医に相談したものの,自分の知識が誤りであったか,確認されないものであったことを認めざるを得ませんでした。
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