特集 腫瘍
【ミニコラム】Cardio-Oncologyの今とこれから—心血管毒性を疑う,すべてはそこから始まる
藤阪 保仁
1
Yasuhito FUJISAKA
1
1大阪医科大学附属病院臨床研究センター/がんセンター/呼吸器内科・呼吸器腫瘍内科
pp.578-581
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900105
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Cardio-Oncologyという領域をご存じだろうか。
がん分子生物学の発展,がん個別化医療の実践,免疫チェックポイント阻害薬によるがん治療の新展開を迎えた現在,がん患者の予後は確実に向上し,QOLの重要性が再認識されている。すなわち,がん治療中の患者やがんサバイバーのなかで,化学療法や放射線治療による循環器系合併症を併発した患者に対して,最適な治療やモニタリングをいかに行っていくかが重要な課題となっている。具体的には,がん治療の副作用として知られる心血管毒性に対する新たな早期診断法および治療法の開発,最新の心血管イメージング,そして心血管系のバイオマーカーの開発や,さらには早期開発臨床試験における,予期せぬ潜在的心血管有害事象の早期発見を目的とした,循環器系モニタリング・プロトコルの開発と導入なども課題に挙げられる。
予後が短いが故に,ややもすると関心が低くなりがちであったこのCardio-Oncologyという領域に,がん治療の新展開に伴う大きな予後の改善で,今関心が高まりつつある。本稿ではそのトピックを概説する。
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